旅エッセイです。
日本に帰ってきた。
なのに、また航空券を探している。
……なんでだろう(笑)。
たぶん、旅が好きな人なら、
この感覚、少しわかるんじゃないかな。
家でぼーっとしていると、
ふと思い出す。
一週間前は、
プーケットのホテルのベランダに出て、
風に当たっていた。
同じ時間を生きているのに、
見えていた景色が違う。
聞こえていた音が違う。
肌に触れる空気が違う。
話している言葉も、食べているものも違う。
「あのとき、私はあの世界にいたんだな」
そう思うと、
なんだか不思議になる。
今、日本にいる私。
そして、少し前までプーケットにいた私。
どちらも本当の私なのに、
いる場所によって、
見えている世界がまるで違う。
だから私は、
ときどき思う。
旅って、パラレルワールドの波に乗ることなのかもしれない。
そして、その世界を行き来するために、
人類は飛行機という、
とんでもなく便利なものを作ってしまった。
航空券を買って、
空港へ行って、
飛んでいく。
それだけで、
数時間後には別の世界にいる。
この感覚に、私はまだ慣れない。
でも、旅は「飛んだら終わり」じゃない。
むしろ、そこからが面白い。
私は旅の前に、
かなり調べる。
行き方も、乗り継ぎも、ホテルも。
「たぶん行ける」じゃなくて、
「絶対行ける」と思って準備する。
それでも、
現地に着くと予定外のことが起きる。
バスがわからない。
案内が読めない。
言葉が通じない。
「……あれ?どうしよう」
一瞬、
心細くなる。
心臓が、
ちょっとだけ速くなる。
でも、
聞いてみる。
相手の顔を見る。
相手も、一生懸命伝えようとしてくれている。
言葉は全部わからなくても、
「この人、私を助けようとしてくれてる」
ということは、なんとなくわかる。
こっちも必死に聞く。
すると、
なぜか少しずつ通じてくる。
そして、
気がつけば目的地に着いている。
「……あ、行けた。」
この瞬間が、
たまらなく嬉しい。
旅って、不思議だ。
怖いこともある。
ドキドキもする。
ハラハラもする。
でも、だからこそ、
無事に辿り着いたときの安心感が大きい。
そして日本に帰ってくると、
その「大変だったこと」まで、
いつの間にか思い出になっている。
「あのとき、どうしていいかわからなかったな」
「初めてあのバスに乗ったな」
「誰かに聞いて、なんとか行けたな」
そんなことを思い出しているうちに、
また行きたくなる。
たぶん、旅好きな人って、
景色だけを見に行っているんじゃない。
知らない場所で、知らない自分に出会いに行っているのかもしれない。
日本にいるときには、
あまり使わない勇気。
知らない人に話しかける力。
わからないことを、自分でなんとかする力。
そして、
「私、意外と大丈夫じゃん」
と思える瞬間。
それを少しずつ持ち帰っているのかもしれない。
だから、帰ってきたばかりなのに、
また次の航空券を探してしまう。
世界のどこかには、
まだ私の知らない「今」がある。
今この瞬間も、
誰かが違う街で、違う風に吹かれている。
その世界へ行こうと思えば、
行ける。
時間とお金と、
ほんの少しの勇気があれば。
そう思うと、
なんだかワクワクする。
そしてきっと、次の旅でも私は、
ちゃんと調べて。
ちゃんと準備して。
「絶対行ける」と思って出発して。
……なのに、どこかで一回くらい、
「え、ここどこ?」
ってなる(笑)。
でも、それも含めて旅なんだよね。
迷ったから、誰かと話せた。
困ったから、知らない人の優しさに気づけた。
予定どおりにいかなかったから、思い出に残った。
そして最後には、
「ちゃんと着いた。」
って笑っている。
もしかしたら、旅の楽しさって、
「どこへ行ったか」だけじゃない。
そこへ行く途中で、自分がどんな自分になったか。
なのかもしれない。
だから今日も、
私は思う。
次は、どのパラレルワールドの波に乗ろうかな。
……そしてまた、どこかの街で、
「え、ここどこ?」
って言っている。
旅好きなら、これもきっと、あるある。
……また、性懲りもなく。

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