#12 旅人とはパラレルワールドの波に乗る人なのかも

【旅エッセイ】旅あるある

旅エッセイです。

日本に帰ってきた。

なのに、また航空券を探している。

……なんでだろう(笑)。

たぶん、旅が好きな人なら、
この感覚、少しわかるんじゃないかな。

家でぼーっとしていると、
ふと思い出す。

一週間前は、
プーケットのホテルのベランダに出て、
風に当たっていた。

同じ時間を生きているのに、
見えていた景色が違う。

聞こえていた音が違う。
肌に触れる空気が違う。
話している言葉も、食べているものも違う。

「あのとき、私はあの世界にいたんだな」

そう思うと、
なんだか不思議になる。

今、日本にいる私。
そして、少し前までプーケットにいた私。

どちらも本当の私なのに、
いる場所によって、
見えている世界がまるで違う。

だから私は、
ときどき思う。

旅って、パラレルワールドの波に乗ることなのかもしれない。

そして、その世界を行き来するために、
人類は飛行機という、
とんでもなく便利なものを作ってしまった。

航空券を買って、
空港へ行って、
飛んでいく。

それだけで、
数時間後には別の世界にいる。

この感覚に、私はまだ慣れない。

でも、旅は「飛んだら終わり」じゃない。
むしろ、そこからが面白い。

私は旅の前に、
かなり調べる。

行き方も、乗り継ぎも、ホテルも。

「たぶん行ける」じゃなくて、
「絶対行ける」と思って準備する。

それでも、
現地に着くと予定外のことが起きる。

バスがわからない。
案内が読めない。
言葉が通じない。

「……あれ?どうしよう」

一瞬、
心細くなる。

心臓が、
ちょっとだけ速くなる。

でも、
聞いてみる。

相手の顔を見る。
相手も、一生懸命伝えようとしてくれている。

言葉は全部わからなくても、
「この人、私を助けようとしてくれてる」
ということは、なんとなくわかる。

こっちも必死に聞く。

すると、
なぜか少しずつ通じてくる。

そして、
気がつけば目的地に着いている。

「……あ、行けた。」

この瞬間が、
たまらなく嬉しい。

旅って、不思議だ。

怖いこともある。
ドキドキもする。
ハラハラもする。

でも、だからこそ、
無事に辿り着いたときの安心感が大きい。

そして日本に帰ってくると、
その「大変だったこと」まで、
いつの間にか思い出になっている。

「あのとき、どうしていいかわからなかったな」
「初めてあのバスに乗ったな」
「誰かに聞いて、なんとか行けたな」

そんなことを思い出しているうちに、
また行きたくなる。

たぶん、旅好きな人って、
景色だけを見に行っているんじゃない。

知らない場所で、知らない自分に出会いに行っているのかもしれない。

日本にいるときには、
あまり使わない勇気。

知らない人に話しかける力。
わからないことを、自分でなんとかする力。

そして、

「私、意外と大丈夫じゃん」

と思える瞬間。

それを少しずつ持ち帰っているのかもしれない。

だから、帰ってきたばかりなのに、
また次の航空券を探してしまう。

世界のどこかには、
まだ私の知らない「今」がある。

今この瞬間も、
誰かが違う街で、違う風に吹かれている。

その世界へ行こうと思えば、
行ける。

時間とお金と、
ほんの少しの勇気があれば。

そう思うと、
なんだかワクワクする。

そしてきっと、次の旅でも私は、

ちゃんと調べて。
ちゃんと準備して。
「絶対行ける」と思って出発して。

……なのに、どこかで一回くらい、

「え、ここどこ?」

ってなる(笑)。

でも、それも含めて旅なんだよね。

迷ったから、誰かと話せた。
困ったから、知らない人の優しさに気づけた。
予定どおりにいかなかったから、思い出に残った。

そして最後には、

「ちゃんと着いた。」

って笑っている。

もしかしたら、旅の楽しさって、
「どこへ行ったか」だけじゃない。

そこへ行く途中で、自分がどんな自分になったか。

なのかもしれない。

だから今日も、
私は思う。

次は、どのパラレルワールドの波に乗ろうかな。

……そしてまた、どこかの街で、

「え、ここどこ?」

って言っている。

旅好きなら、これもきっと、あるある。

……また、性懲りもなく。

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