#10 中国イミグレ、パスポートが消えた10分。

【旅エッセイ】旅あるある

旅エッセイです。

深夜の青島空港で、
少しだけ止められた話。

バンコクからの帰りだった。

中国・青島空港で、
トランジットがあった。

中国って、
乗り継ぎでも一回入国して、
また出国しなきゃいけない。

最初はそれだけで緊張していたけど、
最近はだいぶ慣れてきた。

というか私は、
かなり中国経由が多い。

安いし、便利だし、
なんだかんだ中国トランジットを選んでしまう。

だから今回も、
「いつもの感じかな」
くらいに思っていた。

でも。

出国審査の女の人が、
やけに長かった。

パスポートを、
何度も何度もめくっている。

あれ。

なんか、長いな。

そう思った瞬間だった。

その人が、
ピッと何かを押した。

すると、
イミグレの奥から、
制服を着た男の人が二人出てきた。

急に、空気が変わった。

男の人たちは、
私のパスポートを見ながら、
何か話している。

しかも、
別の女の人が、
私の隣についた。

「ここで待ってて」

そう言われて、
ゲートを通ったすぐ後ろで待機。

ちょっとガラス越しに見える、
奥の部屋。

男の人二人は、
私のパスポートを持って、
そこへ入っていった。

私は動かないように、
その場で待つ。

隣には、
ずっと女の人が立っている。

たぶん、
完全に見張り役だったと思う。

そしてその時間が、
ものすごく長かった。

男の人たちが、
私のパスポートを指差しながら、
何か話しているのも見える。

その瞬間、
頭の中が一気に騒がしくなる。

え。
私、何かあった?

入国カード、書いたよね?

トランジットって説明したよね?

なんで?
中国経由が多すぎるから?

一回入国したのが良くなかった?

もちろん、
何も悪いことなんてしてない。

でも、
中国の空港って、
人を妙に不安にさせる。

その時ふと、
いつも見ている旅系YouTubeを思い出した。

「中国で別室に連れて行かれました」

「2〜3時間出てこられませんでした」

「イミグレ、毎回ドキドキするんですよね」

そういう話を、
私は今まで、
どこか他人事みたいに見ていた。

でもその時、
急に思った。

あ。
私も、そっち側に来たんだって。

見る側じゃなくて、
「止められるかもしれない側」。

なんか少しだけ、
旅人レベルが上がった気がした。

いや、
普通に心臓には悪いんだけど。

旅あるある。

旅慣れした頃に限って、
急にちゃんとビビる。

結局、
何事もなかった。

しばらくして、
パスポートは普通に返ってきた。

スタンプも押されていた。

私は普通に出国して、
普通に日本へ帰ってきた。

でも、
あの時間だけは、
今でも妙にリアルに覚えている。

旅って、
楽しいだけじゃない。

ちょっと冷や汗をかいて、
あとから笑い話になる。

そういうの全部含めて、
旅なんだと思う。

そして私はたぶん、
また懲りずに中国経由を使う。

安いし。
便利だから。

たまに、
心臓に悪いけど。

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