旅エッセイです
旅に出ると、
私はなぜかアイテムを回収しはじめる。
割り箸。
ウェットティッシュ。
使わなかった歯ブラシ。
機内やホテルに置いていくこともできる。
でも私は、そっとリュックにしまう。
脳内で、あのRPGの効果音が鳴った。
♩てってっててー……
あ、この先は、もう各自で再生してください。
旅あるある。
「いつか使うな」
そう思った瞬間に、
それはもうアイテムだ。
旅は不思議で、
本当に“使う時”がやってくる。
フォークだと食べにくい料理に出会ったとき。
屋台で「これはどう攻める?」と一瞬止まったとき。
そのとき、思い出す。
あ、私には割り箸がある。
それだけで、
ちょっと勝った気分になる。
ウェットティッシュも同じ。
手を洗えない場所、
ちょっと拭きたいだけの場面。
「あってよかった」は、
確実に効く。
誰かにとっては、
「そこまで?」と思うかもしれない。
でもこれは値段の話じゃない。
貧乏とか、節約とか、そういう話でもない。
私の中では、
快適さを上げるための選択肢を
一つずつ増やしているだけ。
最近は、
ちょっとジャンルの違うアイテムも手に入れた。
AirTag。
スーツケースに一つ。
大事なものに一つ。
あるだけで、
心配が静かになる。
バスに乗っていても、
人の流れをぼんやり眺められる。
「確認できる」という安心は、
旅の自由度を一段上げてくれる。
安いものも、
ちょっと高いものも、
基準はいつも同じ。
それが、
私の旅を楽にしてくれるかどうか。
旅を重ねるごとに、
私は少しずつ進化している。
新しい街を制覇するわけでもない。
難易度の高いルートを選ぶわけでもない。
ただ、
自分に合うアイテムを増やしていくだけ。
今日もどこかで、
旅人はそっとアイテムを手に入れる。
ガイドブックには載らないけれど、
確実に効くやつを。



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