旅エッセイです。
写真を信じすぎたベトナムの夜
ベトナムに、ひとりで行った。
初めてのベトナムだった。
だから私は、
いつも以上に慎重だった。
ホテルの写真を、
何枚も、何枚も見た。
部屋の写真も、廊下も、ロビーも。
「ここなら大丈夫」
そう思って、ポチった。
なのに。
案内された部屋は、
写真の建物とは、別の建物だった。
いや、厳密に言うと、
その建物もアゴダには載っている。
でも、載っている写真とは違う。
窓は小さくて、
隣の壁がすぐそこ。
部屋に入った瞬間、
空気でわかる。
あ、湿ってる。
ベッドに触ると、
シーツも、ちょっと湿っぽい。
空調が追いついていない部屋の、
あの感じ。
牢獄、という言葉が
一瞬、頭をよぎった。
でもね、
値段を考えたら、
「まあ、こんなものか」とも思う。
怒りより先に出てきたのは、
反省だった。
この値段で、
この写真で、
この部屋を想像していた私。
旅あるある
つまり、
期待値が高すぎた。
これが、
写真詐欺あるある。
写真は、
夢を見せるのがうまい。
この経験があってから、
私は宿探しが、
びっくりするほど丁寧になった。
ドミトリーでも、
数百円でも、
全力。
まず立地。
次に窓。
閉塞感がないこと。
白いシーツを使っているか。
水回りはカビっぽくないか。
レビューで必ず確認する。
トイレは、
ウォシュレット。
なければ、せめて手動式。
写真は、
拡大して、隅々まで見る。
「この角度、怪しいな」
そんな勘も、育ってきた。
不思議なことに、
それから外さなくなった。
予算は変わらない。
でも、満足度は上がった。
私はこうして、
旅あるあるにやられながら、
少しずつ進化している。
限られた予算で、
自分にとって一番いい環境をつくる。
それが、
今の私の旅スタイル。
写真は信じすぎない。
でも、夢を見ることはやめない。
あのベトナムの夜も、
ちゃんと今の私をつくっている。

tabi-faの宿選び・最終チェック
実はね、
私がポチる前に、必ずやってることがある。
一度、Googleマップに
その宿の名前を入れる。
ストリートビューで
外観を、
道から見る。
部屋の中は見えない。
でもね、不思議とわかる。
「あ、ここ、写真盛ってるな」とか、
「ここ、ちゃんとしてそう」とか。
それから、
Googleマップのレビューも見る。
旅行予約サイトじゃない、
別ルートの声。
これが意外と、当たる。
最後の最後に、
外観を見て、
レビューを読んで、
「うん、大丈夫」と思えたら――
そこで、ポチる。
裏技というほどでもないけど、
ここまで丁寧にやるのは、
たぶん、ホテルステイが好きすぎるから。
限られた予算で、
できるだけ気持ちよく過ごしたい。
だから私は、
写真にときめいて、
地図で現実を見る。
ちょっと賢く、
でもちゃんと楽しみながら。

逆に、
同じくらい、
「え、この値段でいいの?」
っていう部屋に当たることもあったね。
写真どおり、
いや、写真以上。
カーテンを開けたら、
思ってなかった景色が広がってて、
しばらく何もできなくなる夜。
だからたぶん、
写真詐欺って、
ちょっと面白い。
期待を裏切られることもあるけど、
期待を軽く飛び越えてくることもある。
自分で選んで、
自分で外して、
自分で当てる。
その全部が、
旅の経験値になっていってるよ。



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