旅エッセイです。
海外のホテルに着いて、
部屋に入って、スーツケースを置く。
そして、トイレを見る。
……あれ?
トイレットペーパーが、短い。
いや、短いというか、もう終わりかけみたいな顔をしている。
この量だったら、絶対足りなくなる。
だから私は、すぐにフロントに行く。
トイレットペーパーが少ないので、
もう一つもらえますか、って伝えに行く。
ホテルの人は、慣れた様子で「OK」と言う。
しばらくすると、部屋まで持ってきてくれる。
トントン、とノック。
はい、どうぞ。
受け取った瞬間、私は一瞬で悟る。
……ああ。
あの子、新品だったのね。
さっき「もう終わり?」と思ったあのトイレットペーパー。
あれ、最初からこの量だった。
今手渡された新品のロールも、同じサイズ。
芯は極太で、巻きはこんだけ。
これが新品。
その場で全部、理解する。
世界は広いけど、
トイレットペーパーは、こういうものなんだって。
旅あるある。
中国だけじゃない。
タイも、バリも、マレーシアも、ベトナムも。
だいたい、どこも短い。
これが世界基準なんだと思う。
気になりすぎて、私はスーパーにも行った。
地元の人が買い物をする、スーパー。
並んでいるトイレットペーパーを見て、さらに納得する。
やっぱり、日本の巻きは、ここにはない。
これは不満じゃなくて事実。
世界には、トイレットペーパーがあるだけでありがたい街もあるし、
流せないトイレだって、ぜんぜん普通。
必要な人は、自分で持ってくる。
だから、日本だけが少し違う。
良い意味で。
紙があって、
流せて、
詰まらなくて、
しかも巻きが長い。
そんな環境が、
「まあ普通でしょ?」みたいな顔をして存在している。
日本にいたときは、気づかなかった。
海外に出て、ようやく分かる。
今日も私は、
海外のホテルのトイレで、
短い新品のトイレットペーパーを見ながら思う。
世界は広い、
トイレットペーパーは短いけれど……



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